遺影シリーズ:被覆した物を写真に残す構想
立体だけでなく、その物がある場所や周囲との関係を写真に残せるか。2026年10月時点の構想と、最初の比較撮影で確認する内容を記す。
現在そばにある物を撮る構想
遺影シリーズでは、表面の情報を黒で覆った対象物を、写真の構図に含めることを検討している。物の細部が見えにくくなっても、周囲との関係を写真に残せるか。将来の不在を思いながら、現在そこにあるものを撮る構想である。[1]
2026年10月時点では、対象物、撮影場所、完成作の構成は確定していない。ここでは完成作品のステートメントを置くのではなく、最初の撮影で比較する内容を記録する。[1]
同じ対象を3つの構図で比較する
初回は同じ対象を使い、単体で写す場合、普段置かれている場所を含める場合、使用や人との関係を想起できる場合を比較する案である。対象を同じにして構図を変えることで、黒い形以外に写真へ何が残るかを検討できる。[1]
暗く写ったことだけでは、被覆の影響と撮影条件による影響を区別できないため、被覆前の記録も残し、塗膜、照明、露出、構図を分けて比較する。[1]
| 構図の案 | 比較する内容 |
|---|---|
| 単体 | 輪郭と表面にどこまで情報が残るか |
| 普段の場所を含む | 物と場所の関係が写るか |
| 使用や人との関係を含む | 物の説明を越えて関わりが伝わるか |
試作を選ぶための条件
写真が、黒い物の種類を当てるだけの画像になっていないか。物の来歴を説明文だけで補わず、そこにある場所や関わりを画像から検討できるか。これらを比較撮影後の選別条件にしている。[1]
立体を併置するか、写真だけで発表するかも、試作を見てから検討する。写真作品へ進めることを、立体とのセット展示が必要だという結論にはしていない。物が残ることと、その物との経験を残せることの差を、制作と撮影の両方から確かめる計画である。[1]
黒い形の識別と、関係の記録
輪郭から物の種類を推測できる写真と、その物がどこで誰と関わっていたかを考えられる写真は、同じではない。単体の構図で残る輪郭が、場所を含む構図では背景に埋もれる場合もある。この差を良し悪しだけで判断せず、何の情報が被覆で減り、何の情報が構図によって加わったかを比較する必要がある。
遺影という呼称も、写真に写る物が既に失われたという事実を示すものではない。構想の中心は、まだそこにある対象を、将来の不在を想いながら記録することにある。試作では、被覆した物を撮ったという制作方法だけでなく、対象が残る現在と、後から写真を見る時間の差を、画像の構成から検討する。

