ステートメント
古い戸板は空間を区切るために使われ、表面には木目や傷、補修痕が残る。傷や補修痕には、その場所で使われてきた時間が表れている。
その表面の一部を漆黒の塗膜で覆い、痕跡や奥行きを読み取るための光の反射を抑える。木地には痕跡が見え、覆った部分では、木材が残っていても、木目や傷を視覚で捉えにくくなる。建築の中で使われていた戸板を、見る人が向き合う面として提示する。
題名Hekikan(壁観)は、空間を隔てる建具を、見る人が向き合う面として捉え直すことを表す。歴史そのものを物理的に取り除くのではなく、その痕跡の一部を覆う。Dharmaと対をなし、物の構造が残りながら見慣れた視覚情報が遮られるとき、その存在をどう受け止めるかを問う。