ラウシェンバーグとホワイトリード:消去・鋳造・被覆の比較

消去された線、型取りされた室内、覆われた戸板。「不在」という共通語にまとめず、操作と残るものを4作品で比較する。

目次と関連資料

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作品・出典

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消去された線と、覆われた表面

ラウシェンバーグの消されたデ・クーニングのドローイング(1953)は、他者のドローイングを消去してつくられた。SFMOMAの解説は、消去後の紙だけでなく、作品名の記載と額も作品の一部として扱っている。消去を行ったという情報は、白い紙の外観だけからは得られない。[1]

壁観の被覆は、戸板を紙に置き換えた同じ操作ではない。線を消す行為と、木目や傷の上へ塗膜を加える行為では、材料に加えられた変化が異なる。ともに見えない情報に関わるとしても、除去と被覆を区別することが比較の前提になる。[3]

Hekikan / 壁観(2026)
Hekikan / 壁観(2026)

空間を固体にする鋳造と、木片の再配置

ホワイトリードのGhost(1990)は、室内を石膏で型取りした作品である。米国ナショナル・ギャラリーは、室内表面の形が外側へ向いた、石膏パネルの構成を説明している。人が入る空間と、その内面を写し取った固体の関係が変わる。[2]

相依では、分けた木片の曲面が中央の樹脂の形を定める。ただし、元の木片は樹脂とともに作品内に残る。室内空間を固体として提示することと、接している2つの素材で別の形をつくることは、表面が別の形を定めるという共通点を持ちながら、異なる構造である。[4]

元の左右

丸い外面が外側を向き、切断面が中央で接する

左右の交換と樹脂固定

切断面が外側へ移り、丸い面が中央の樹脂を挟む

木樹脂

相依の構造を簡略化した模式図。元の木片も作品に残る。

4作品の比較範囲

4作品を比較する項目は、何を除去・追加・型取りしたか、元の物がどこに残るか、行為を知るためにどの資料が必要かである。「不在」や「痕跡」という語だけで似た作品とするより、操作の違いを記述できる。この比較は制作への直接の影響を示すものではなく、所蔵館の資料と自作の正式資料を並べた考察である。

操作を知ることが鑑賞へ加える情報

消去された紙、石膏の表面、漆黒の戸板は、外観だけで制作の過程をすべて示すものではない。ラウシェンバーグの作品では消去前のドローイングとの関係、ホワイトリードでは型を取った室内との関係が、制作資料を通じて加わる。壁観では古い戸板の使用痕と被覆を区別する資料が、現在の表面を検討する条件となる。

比較では、見た目が似ているかだけでなく、どの過程を知らなければ操作の差がわからないかを検討できる。物質を除く、空間の内面を別の材料へ移す、表面への接近を抑えるという操作は、同じ結果へ向かう方法の違いではない。それぞれが残すものと、残らないものの関係自体を変えている。

出典

  1. SFMOMA《Erased de Kooning Drawing》(1953)作品概要

    SFMOMA参照文献・外部資料

  2. National Gallery of Art《Ghost》(1990)作品概要

    National Gallery of Art参照文献・外部資料

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