ステートメント
福だるまには、願いを込めて片目を描き、願いがかなったときにもう片方を描く習わしがある。本作では、目を造形から省いた木製のだるまに、削り跡や引っ掻き傷、割れを残す。左右を樹脂で隔てた個体も含む。
作者が加えた傷と、自然に生じた亀裂が、同じだるまに残る。人が望む未来と、その望みだけでは決められない物の変化を重ねている。傷や分断があっても、だるまを思わせる形は残る。
制作の背景には、大切な人や物を失うかもしれないという不安がある。変化した姿を前に、何を失ったと感じ、何がまだそこにあると受け止めるのかを問う。