ステートメント
分解したカセットテープを、目のないだるま型の樹脂に封じ込める。リールやほどけたテープは内部に見えるが、樹脂から取り出して、そのまま再生することはできない。音を記録するためのテープが、再生できない状態で残る。
福だるまには、願いを込めて片目を描き、願いがかなったときにもう片方を描く習わしがある。未来への願いを込めるだるまの形に、過去の音を記録するためのカセットテープを収める。そのどちらも、本来の使い方から離れている。
物を残すことと、その物を通して過去に触れられることは同じではない。本作は、目の前にある物と、そこから取り戻したい時間との隔たりを示す。残っているというだけで、失われていないと言えるのかを問う。